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★神農氏+少彦名命
大坂・船場の道修町(どしょうまち)にある少彦名(すくなひこな)神社は、日本の少彦名命と中国の神農氏 をお祀りしている為「神農さん」とも呼ばれ、毎年11月22日・23日の祭礼は、「神農祭」として人々に親しまれています。 江戸時代、長崎に輸入された唐薬種(漢薬)を一手に扱う道修町の薬種中買仲間の人たちは、 薬の真偽・品質の鑑別が非常に難しいということで、神様に日々お祈りしながら任務を遂行してきました。 漢方医学が行われていた江戸時代には、医家や薬種商は、中国の医薬の祖とされる神農氏の像や掛軸を 床の間に祀っていました。 炎帝・神農氏というのは、中国古代の伝説上の三皇五帝の一人で、「百草をなめて一薬を知る」というように、 身をもって薬草を試された方です。 一方、道修町薬種中買仲間では、享保18年(1733)、有志が「伊勢講」を結成して伊勢神宮に毎年参拝し、 神のご加護を祈願していました。 その後、和薬種(国産薬)の取扱い量も増加してきましたので、安永9年(1780)、京都松原通りの五條天神宮から、 わが国の薬の神様といわれる少彦名命(すくなひこなのみこと)を仲間寄合所(現在の神社の位置)に分霊を勧請 (お迎え)し、以前から祀っていた神農氏と合祀しました。これが少彦名神社の起こりです。 少彦名命は、大国主命と常に一緒になって、薬を使うこと、病気を癒すことを仕事とされた神様です。 合祀後も神社は「神農さん」と愛称され、毎年11月22日・23日の祭礼も「神農祭」と呼ばれて広く親しまれています。
★「張子の虎」の由来
神農祭に際して有名なのは、五葉笹につけた「張子の虎」。神社で授与される「張子の虎」は、神農祭のシンボルに なっていますが、その由来はどのようなものでしょうか。 笹に付いた赤い札の表面には「祈願
家内安全 無病息災」とあり、その裏面に「張子の虎について」と、 次のような説明が書かれています。
文政五年の秋、疫病(コレラ)流行して万民大いに苦しむ。 これにより、道修町薬種商相議り、疫病除薬として虎頭骨等を配合し、虎頭殺鬼雄黄円という丸薬を施与すると共に、 張子の虎をつくり、神前に祈願を行い、病除御守として授与 する。古人、病を療するに薬を服用すると共に、また神の加護を祈る用意の周到なること誠に想うべきものなり。 神農祭 十一月二十二日、二十三日
大阪船場道修町 (神農さん)少彦名神社
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文政5年(1822)に拡がったコレラは、日本での第一次流
行で、3日も経てば亡くなるので三日コロリと言われ、虎や狼が一緒にやって来るような恐ろしい 病気として「虎狼痢」という文字が当てられました。 大坂・適塾の緒方洪庵先生も、安政5年(1858)の第二次流行のとき、 『虎狼痢治準』という本を出しています。 当時においては細菌学もなく、コレラの治療など分かっていないのですから、 疫病除けとして「鬼を避(さ)く」といわれる虎の頭骨など10種類の和漢薬を 配合した「虎頭殺鬼雄黄圓」(ことうさっきうおうえん)という丸薬をつくり、効能書に 1粒包んで、初めは100人と限って施楽したのです。 資料館展示室の2番目のショーケースに、唯一現存する丸薬と、この効能書が展示されて います。
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除疫病御薬 虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)
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| 一 |
此の薬壱人前壱りう(粒)づつ紅絹(もみ)袋に入れ、男は左、女は右のはだに附け置くべし。もし疫病の気ざし有るときは、早く家内にてくすべてよし。 また急なる時は、さゆにて用いてよし。但し常に懐中して百邪を除くこと 神の如し。 戌午(安政五年)八月 道修町 施薬
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同時に、病名も丸薬の名も虎に関係があるため、それに因んで「張子の虎」がつくられ、これを五葉笹(5枚の小葉の笹)につるし、神前で祈願したしるしに、虎の腹部に「薬」の文字が朱印され、病除け御守りとして授与されるようになったの です。
★「張子の虎」のいま
施薬の方は、明治初期の「売薬規制」のより廃止されましたが、「張子の虎」は神農祭のシンボルとして名高くなり、 お祭りの当日、参拝者が無病息災を願って買い求めるほか、薬祖講(神社の崇敬者団体)の会社から得意先へ配る数も多数にのぼっています。 戦前は、一定の時刻を定めて「張子の虎」を門前で一定数、無料施与していて、集まった子供達が「おっさん虎おくれんか」と叫んで、祭りの風物詩となっていましたが、戦後は有料授与となり、祭典委員や巫女(みこ)さんの手により授与されて います。 黄色い胴体に黒稿模様、ゆらゆらと頭部を上下に振る「張子の虎」は、現在、大阪・守口市の楠田さん方で作られており、 大阪の郷土玩具の一つとしても数えられています。 虎をつるす五葉笹は、枝分かれしない1本の笹で、節の所から5枚ずつ葉が出ているのが特徴。 ある年、四国の産地へ注文したが海上暴風のため祭日の間に合わない心配が出たことがあったので、 今は丹波篠山方面から調達されています。
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